|
|
|
|
あいにくの雨だった。
孫をつれ、おじいさんはふるさとに、おじいさんの父の法事でひさしぶりの帰郷。お孫さんにとっては、初めての地である。先祖を長くはぐくんでくれたところを、孫にも見せたいという思いもあって同行となった。
できたらいい思い出になる様に天気にも恵まれて ほしいところだったが「雨」であった。
運悪く、都会育ちのお孫さんはお寺にたどりつく前、舗装されてないところで足をとられて、靴とソックスがドロ水で汚れてしまった。しかし、今度は運良くタクシーさんが通り、すぐ乗ることができ、靴屋さんへ行こうとしたが、たまたま運転手さんは仕事をあがる予定なので「よかったら自宅へ来て」という話になった。
もちろん、それはご迷惑と断るのですが結局その運転手さんのおうちで洗い、乾かしてもらうことになった。
偶然、その運転手さんはおじいさんの幼なじみで同級生の子供さんということもあり、すっかりいろいろ話に花が咲いた。
そして、お寺に参り和尚さんにありがたかったとお話をすると「大変でしたネ、でもいい方との出会いはありがたいことです。」とお教えいただいた。
帰り道「おじいちゃん。私、この町にお嫁に来る。きっといつかここに帰ってきて、ここに住んで幸せになるの」とお孫さん。
おじいさんは、その言葉とふるさとのあたたかさにゆっくりとおじぎをした。
孫が私たちの先祖を守ってくれると思うととっても幸せな気持ちになった。 |
|
|
|
|
|
|
|