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column #3 「旅は人情」〜やっぱり「人」だない〜 |
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旅慣れていないせいか、家内は口紅を忘れて出発。その日は一緒に行った友人に借りたりしてしのいでいたが、翌朝化粧をし始め、いよいよ困ってしまったらしい。
近くのコンビニにでも行けば調達できるだろうと旅館のフロントに降りて尋ねると、歩いて25分も掛かるという。朝6時半ということでフロントの方が出勤してくる前、宿直のガードマン風の方が対応してくれたのだが、一緒になってあれこれ考えてくれたとのこと。結局すぐ近くに化粧品屋さんがあって、そこを紹介してくれることになった。
しかしまだ6時半、お店が開いている時間ではない。「コンビニへタクシーで行きますので…」と家内も諦めかけていると「あそこは小学校へ行っている子供がいるのでもう起きているはずですヨ。ちょっと電話してみますのでお待ち下さい。」とすぐに電話をかけ始めた。「開けてくれるそうです。5分後にお待ちしていますとのことです。」
男の私からすれば、たかが口紅でそんなに迷惑を掛けて…と思い「口紅つけなくたって、オマエは充分キレイだよ。」とちょっと皮肉ってやったのだが、当の家内にとっては重大事であったらしい。
申し訳ないという気持ちと、そのガードマンさんの心意気に感激して「私、口紅2本とクリームまで買ってしまったワッ」と家内はいつになくトーンが高い。
こういう人情が旅をひときわ味わい深いものにする。小さな出来事ではあるが、もうひとつの観光資源というか観光力をしみじみ感じたエピソードであった。 |
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